Akosmismus

Me, poor man, my library was dukedom large enough.

書評

ウィリアム・ギャディス『JR』と四角のうちにすむ芸術家たち

——三年がかりで模索し洗練し修正し拒絶し選択し続けてできあがった文章が、あかの他人に、三十分にも足らない時間で、味わわれたり、読まれたりするポール・ヴァレリー JR 作者: ウィリアム・ギャディス,木原善彦 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2018/…

「マジック・フォー・ビギナーズ」、読むこと、演じることと解釈すること

マジック・フォー・ビギナーズ (ハヤカワepi文庫) 作者: ケリー・リンク,柴田 元幸 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2012/02/29 メディア: 文庫 クリック: 21回 この商品を含むブログ (16件) を見る 0. アメリカの家庭はしょっちゅう崩壊しては再生する。…

「クリアリー家からの手紙」と SF の読者(翻訳)

「クリアリー家からの手紙」と SF の読者 ジョン・ケッセル (SHORT FORM, vol. 2, issue 1, June 1989) (コニー・ウィリスの短編小説「クリアリー家からの手紙」について SF 作家/批評家のジョン・ケッセルが書いた批評文、"‘A Letter from the Cleary's’ …

『未必のマクベス』の文体論

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)作者: 早瀬耕出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る(※この文章は第二十五回文学フリマにおいて東京大学新月お茶の会会誌『月猫通り 2158号』を購入された方に配布し…

シャーリイ・ジャクスン「くじ」について

完璧な短編小説とはなにか? そう問われたらわたしは悩んでからシャーリイ・ジャクスン「くじ」*1を挙げると思う。 くじ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: シャーリイ・ジャクスン,深町眞理子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/10/21 メディア: 文庫 …

繋がれた犬に二回も咬まれるなんて

『夫婦の中のよそもの』を読んだ。著者のエミール・クストリッツァと言えば知らぬものはいない名映画監督であるが、というか、あるらしいが、ともかくわたしも名前は知っている。映画は観たことがあることになっている。でもどちらかといえばノー・スモーキ…

いまさら、いまさら翼といわれても、といわれても

米澤穂信『いまさら翼といわれても』を読んだ*1 米澤穂信の(とくにさいきんの)小説をほめるのはとても難しくて、それはいわゆる美人さんをほめるときのあの難しさに似ている。要素をつかみ出してみれば特に目新しいところはない。この鼻の曲線が……とか、こ…

読書感想文『ごん狐』(あるいは、火縄銃の煙はなぜ青いのか)

先日田舎に帰った際、久々に会った親戚の小学生(四年生)が「ごん狐」の感想文をこしらえるのに困っていると訴えてきた。 読書感想文を書くのがうまかった(内容がよい、というよりは書くスピードが速い)わたしはかれの訴えに共感できず、へえ~そうですか…

ハーラン・エリスン「死の鳥」(とすっぱい葡萄)について

愛って何か知ってる? ああ、知ってるとも。 少年は犬を愛するものさ。(「少年と犬」) ハーラン・エリスン『死の鳥』(早川書房、2016)を読んだ。 表題作である「死の鳥」を読んで感じたことを少し書く。文章が散漫なのは自覚している。直したいので気づ…